中学生の英語学習、3つの選択肢

中学英語は、もはや全員が同じスタートラインに立つ前提ではなくなっています。何も考えずに入学することがいちばんリスクの高い時代に、家庭としてどう動くか。3つの選択肢で整理しました。
knockout 2026.04.06
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前回の配信では、中学生の英語力低下の問題を取り上げました。さまざまなデータや現場の声を参照しながら、英語を嫌いになってしまう子が増えていることに問題の核心があるのではないか、と問題提起をしました。

今回はその続きです。そうした状況のなか、家庭としてどう動けばいいのかを、より実践的な視点でお伝えしたいと思います。

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知らないうちに、スタートラインが変わっていた


前回のおさらいとなりますが、中学英語に課題がある点については、当然、国も認識していて、次の学習指導要領のなかで改善しようと動いています。ただ、中学校で新しい英語教育が展開されるのは、計画上では2031年度。あと5年もあります。小さな子どもを持つ家庭にとって、5年は貴重な歳月です。ただ待っているわけにはいきません。


今の中学校英語の状況を一言で言うと、「何も考えずに中学校に入ることがいちばんリスクが高い状態」

少し前までは、「中学校から英語を始めればいい」という共通の前提がありました。学校に任せておけば大丈夫、必要なら塾で補えばいい。そういうスタンスでも大きく外れることはありませんでした。ところが今は、同じ教室のなかに「小さいころからお家英語をやってきた子」と「ほぼゼロから中学で英語を始める子」が混在しています。

しかも、現行の学習指導要領になってから中学英語は格段に難しくなっています。学習量が増え、スピードも上がった。小学校での英語教育の前倒しによって一応、手当てはされている格好ですが、実際にどれだけ定着しているかは家庭によって大きな差があります。率直に言えば、早い段階から英語に時間とお金をかけてきた家庭とそうでない家庭とでは中学入学時点ですでにかなりの差がついています

英語学習は中学から。この前提は一昔前の話です。

中学校はもはやスタートラインではありません。

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2つの分岐点


こうした状況をふまえると、子どもの英語学習には大きく2つの分岐点があることがわかります。

1つ目は「中学校入学前に、家庭でどれだけ英語の準備をしていたか」。ここはすでに通過してしまったご家庭も多いでしょう。

2つ目は「中学入学後、学校の授業だけでいくか、家庭で補完するか」。ここがこれからの判断どころになります。

この2つの分岐点をベースに、「自分が今、中学生の親だったらどうするか」という視点で3つのパターンに整理してみます。

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パターン1:学校準拠タイプ


中学校に入るまで英語の準備はしていない。進学後も、学校のペースに合わせて学習を進める。塾や英会話教室などの外部サービスは使わない、というパターンです。


物価が上がり続けるなかで、塾も英会話教室もアプリも値上がりしています。余計なコストをかけず、学校の授業を軸にしたいという気持ちはよく理解できますし、高校・大学に向けて費用を取っておきたいという判断も十分合理的だと思います。

ただ、学校任せにするということは、一人ひとりの習熟度に合わせた学習調整がほぼできないということでもあります。

繰り返しになりますが、今の中学英語は、できる子には簡単すぎる一方、準備なしに入った子には難しすぎる。そのまま学校だけに任せていると、ついていけなくなるリスクはそれなりに高いと見ておく必要があります


学校準拠タイプで特に注意したいポイントは2つです。

ひとつは、苦手になってしまったときの立て直しの難しさ。一度つまずくと、そこから建て直すのはなかなか容易ではありません。

もうひとつは、習った英語を実際に使う経験の不足。学校の授業で学んだ内容を自分でアウトプットする機会は、学校だけでは量が足りなくなりがちです。


そして、このタイプを選ぶ場合、まず意識してほしいのは、教科書の内容を徹底的に繰り返すことです。教科書の文章を何度も音読して、丸暗記するくらいまでやり込む。空で言えるようになるだけでなく、書けるようになる。それだけでも相当な力がつきます。

そのうえで、負担にならない程度の補完として私がおすすめしたいのが、NHKの『基礎英語』です。ラジオ講座なのでコスト0で始められ、テキストを買っても月700円程度。中学校の学習内容と連動したレベル構成になっているので、学校でやった内容が応用問題のようなかたちで出てくることになり、演習の幅が広がります。

『基礎英語』は、かつて「基礎英語1・2・3」と中学校の学年別に分かれていましたが、現在は「レベル1」「レベル2」という構成に変わっています。「レベル2」の想定英語力はおおむね英検2級までカバーしています。標準的な中学生なら十分すぎるくらいのレンジです。

NHKテキストが英語学習に選ばれる4つの理由|NHK出版デジタルマガジン

NHKテキストが英語学習に選ばれる4つの理由|NHK出版デジタルマガジン

今では「らじる★らじる」や「NHKゴガク」のアプリでも聴けるので、ラジオをリアルタイムで聴く必要もありません。自分の好きな時間に毎日15分続けることで習慣になる。聴く力がつき、語彙も増え、英語のリズム感が自然と身についていく。塾や英会話教室と比べると地味に見えるかもしれませんが、言語学習において「毎日続ける」ことの効果は絶大です。

わが家の長男も、中学で英語の授業に慣れていく時期に、この基礎英語にお世話になりました。毎日コツコツと聴き続けていたのを覚えています。

余裕があれば、『基礎英語』に入るの前のステップとして「小学生の基礎英語」も合わせて聴くと、触れる量や頻度をさらに増やすことができますね。


学校準拠タイプの家庭には、まず月1000円以下のこの投資から始めていただくのが、現実的でコストパフォーマンスの高い選択だと思います。

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パターン2:補完タイプ


中学校入学前の準備はしていないけれど、入学後は家庭でしっかり補おうというパターンです。


英会話教室に通ったり、塾で英語を補強したり、学習アプリを活用したりしながら取り組んでいく。この記事をご覧の方には、このタイプがいちばん多いのではないかと思っています。

ただ、このタイプに起きやすい落とし穴があります。それは、なんとなく教材を足し続けてしまう状態です。


本来であれば、「うちの子にはどのスキルが足りていないのか」「何を補うべきか」をきちんと分析・整理したうえで手段を選ぶべきです。ところが、「この教材が良さそう」「誰かが良いと言っていたからやってみる」というかたちで次々手を出す。そうすると、子どもの負担だけが増えて、なかなか力がつかない状況に陥りやすいものです。

また、補完のための学習に時間を取られると、学校の授業の復習が疎かになることもあります。定期テストで点が取れないという結果につながるケースも少なくありません。


どうしてこうなってしまうのか。

親が不安だからだと思います。不安に対して思いつきで手段を足してしまう。これがよく見られるパターンです。

大切なのは、「何のためにこれをやるのか」を整理し、学習全体をデザインして、子どもへの負担が過多にならないようにすることです。

また。もうひとつ、このパターンで重要な視点があります。それは、誰がその英語学習に伴走するかという問題です。

中学生は基本的に反抗期です。「塾の宿題やりなさい」「今日の分の英語アプリやった?」という声かけは、言えば言うほど逆効果になることも多い。親が学習管理に関わると、どうしても親子間の摩擦が生まれます。

家庭で補完する場合、教材の質をどう保つかはよく話題になりますが、それと同じか、それ以上に重要なのが、子どものモチベーションの維持と学習の進捗管理をどうするか、という伴走の体制です。


我が家では、娘がこの問題に直面したとき、英語のコーチングサービスを選びました。ちょうど受験塾をやめたタイミングで、英語学習の伴走をどうしようか考えていたところに出会えたものです。目標の立て方から進捗管理まで、コーチが娘と一緒に考えながら進めてくれる。親が学習管理から距離を置けることは、こちらの精神衛生上も、娘の精神衛生上も、本当に良かったと感じています。プロの目線で見てもらえる安心感も大きかったです。


親が伴走できるならそれで構いません。ただ、どうしてもぶつかってしまうという場合は、その部分を誰かに任せることを検討してみてください。

このパターンのポイントをまとめると、「何を補っているのかを言語化する」こと、そして「伴走をどう設計するか」の2点です。


パターン3:逆算設計タイプ


ゴールから逆算して学習を設計していくタイプです。いわゆる早期英語・お家英語に熱心な家庭もこれに該当します。「大学受験でどの程度の英語力が必要か」「海外進学を視野に入れるなら中学段階でどこまで必要か」といったゴールを先に置き、そこから逆算してプランを組むご家庭です。

ゴールがあると、やるべきことが明確になります。やるべきことが決まれば、やらないことも決まる。迷いがなくなるのが最大のメリットで、3つのパターンのなかでもっともすっきり動けるスタンスかもしれません。


ただ、このパターンにも落とし穴はあります。

ゴールを先に決めると言っても、子どもがまだ小さいうちは、子ども自身のゴールはほぼありません。幼児期や小学校入学時点で「私はこれがやりたい」と明確に言える子は少数です。必然的に、親が主導権を握ることになります。

親主導で長期間進めていくと、達成度を確認したい親は、先取りさせたい、資格を早く取らせたいという気持ちがエスカレートしがちです。それにともない、子どもの側には “やらされている感” が積み重なり、英語が好きではない、という状態になりやすいです。気づくと、そこそこ英語はできるけど、別に好きじゃないという状態になっていた、というのは決して珍しいことではありません。


また、幼児期・小学校段階の「楽しむ英語」と、中学以降の「テストや受験で点が取れる英語」の間にはギャップがあります。英語に向き合う気持ちが変わる時期に、そのギャップに苦しむ子もいます。


このパターンを選ぶ場合、親が描いたデザインが子どもの関心や意欲と噛み合っているかどうか、また、学校で求められている能力とずれていないかを、常にチェックし続ける必要があります。


前回もお伝えしたように、英語において長く効いてくるのは「英語が好きかどうか」「英語を使って何かしたいかどうか」というマインドの部分です。子どもの意欲が伴わないまま親が先走ることの危うさは、常に頭の片隅に置いておく必要があります

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3つのタイプに共通する大前提


3つのパターンを見てきましたが、共通して言えることがあります。

しつこいようですが、英語を嫌いにさせないことが最優先だということです。


成績を上げたい、資格を早く取らせたい、という気持ちは親として自然なことです。ただ、それ以上に大切なのは、子どもに合った学習を選び、それを続けていけること。英語学習が「心地よい状態」で維持されていること。これが大前提です。


どのパターンであれ、子どもが英語と良い関係を築けているかどうか。そこを軸に、学習の設計を見直し続けてほしいと思います。

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うちの子たちの中学英語の取り組み方を振り返って


せっかくなので、わが家の3人の子どもたちの中学期の英語学習を振り返っておきたいと思います。

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