「全日制か通信制か」はもう古い

少子化が進む中、高校のかたちが変わり始めています。全日制と通信制の壁が溶け、学び方を自分でデザインする時代へ。子どもの進路の見方、そろそろ更新しませんか。
knockout 2026.04.27
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【36【64です。


【36】というのは、2020年から2040年にかけての20年間で、高校1年生の人数が約36%減少するという数字。そして【64】は、全国の市町村の約64%では、すでに自治体内に公立高校が0校または1校しかないという現状を示す数字でした。

2040年というと、まだずいぶん先のように感じる方もいるかもしれませんが、小さなお子さんがいるご家庭にとっては、ちょうどお子さんが高校生・大学生になる頃の話です。そう考えると、決して遠い未来ではなく、かなりリアルに関わってくる時間軸ではないでしょうか。

この2つの数字を軸に、前回は、少子化がもたらす危機の構造を見てきました。今回は、さらにその先、そういった状況の中で高校がどう変わっていくのかについて、具体的な動きを取り上げながら考えていきます。

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通信制高校の急拡大と、あまり知られていない実態


まず現状の確認から。

現在、高校生の10人に1人が通信制を選んでいます。在籍生徒数は約30万5,000人。令和に入ってからの7〜8年で、じつに1.5倍になりました。地方の中規模都市の人口に匹敵する規模が、通信制高校に集まっているわけです。


通信制高校と聞くと、多くの方がまず思い浮かべるのは、N高・S高といった、いわゆる広域通信制高校ではないでしょうか。CMや報道でも頻繁に取り上げられ、注目を集めています。一方で近年は、その負の側面も語られるようになってきました。生徒数が増えすぎて教員の目が行き届かないこと。また自宅でオンライン学習を続け、たまにスクーリングに行くというスタイルでは、対面で人と関わる力が育ちにくく、大学進学後や社会人になってから苦労するケースがあること。こうした指摘が、最近では目につくようになっています。「光もあるけど、影もあるよね」というのが、今の通信制高校をめぐる空気感ではないかと思います。


そんな通信制高校ですが、3月3日の朝日新聞に、少し見方が変わる記事が掲載されていました。

こちらを見ると、通信制高校の数は現在、全国に333校。注目すべきは、そのうち190校が、全日制と同じ校舎に併設されている通信制コースであるという点です。

特進コースや国際コースがある学校と同じように、通信制コースが同じ校舎中に存在している。そうした形態の通信制が、実はすでに全体の過半数を占めているのです。この点に関しては、おそらく多くの方のイメージとは、少し違うのではないでしょうか。

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全日制と通信制のいいとこ取り~九州の女子校の事例


同じ日の朝日新聞に、もうひとつ興味深い記事がありました。

記事で取り上げられていたのは、九州にある私立女子校。この学校の通信制コースでは、週2回の登校が基本になっています。そして図書館や部活動、語学研修といった全日制の設備・プログラムを、通信制の生徒も一緒に利用することができます

毎日通わなくていい。でも週2回は登校するから友達もできるし、高校生らしい体験もできる。全日制の良さと通信制の良さを組み合わせた、ハイブリッド型の学び方です。

前回の記事でもお伝えしたように、地方では高校の統廃合が進み、近隣の自治体まで通学しなければならないケースも増えています。毎日それをやるのはなかなか大変ですが、週2回なら現実的に乗り越えられそうです。そのうえ、ちゃんと友達もできて、青春らしい高校生活も過ごせるとなれば、魅力的に映ります。


さらに面白いと思ったのは、この仕組みが途中で切り替えられる可能性を秘めているという点です。たとえば入学時は全日制コースで通学し、部活動にも打ち込む。引退したら受験勉強に集中したいから、そこからは通信制コースに移行する。そういう柔軟な選択ができるようになったとしたら、かなり理にかなっています。

現状、そこまで自由に切り替えられるかどうかは学校によって異なると思いますが、同じ校舎の中にコースが並んでいるという構造は、そうした発展の余地があるように感じます。

これまで「全日制か通信制か」は、まるで別の世界のような選択でした。でも今、その境界線はずいぶん曖昧になってきています。

都立高校における学び方の再設計


こうした変化は、地方の私立校だけの話ではありません。
東京でも、これまでとはまったく異なる発想の公立高校づくりが始まっています。

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