884億円の使い道を見て、少し不安になった話

学校でAIを安全に使う環境整備に、884億円。その大半がクラウド環境に向かう一方、教員不足や授業づくりは追いつくのか。制度の時間と子どもの時間のズレを、家庭の視点から考えます。
knockout 2026.09.07
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最近、ニュースを追っていて、次の学習指導要領の話がずいぶん賑やかになってきたな、と感じています。

中教審での議論はもちろんですが、それだけではありません。8月には、第5期教育振興基本計画が諮問されました。2030年前後を見据えて、教育政策の方向性や目標を定める計画です。その翌週には、文部科学省の来年度の概算要求も出てきました。

理念の話から、実装の話へ。

お金と人をどう配置するかという話も、少しずつ具体的になってきているのを感じます。

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884億円の使い道


次の学習指導要領を考えるうえで、大きなテーマのひとつは、やはりAIです。

「学校でAIを使うべきかどうか」という議論は一段落し、いまは「AIの存在を前提に、学校教育をどう組み直すか」という段階に進んでいます(良し悪しは別として)。

そんななか、概算要求を見ていて目に留まったのが、884億円という数字でした。学校でAIを安全に使える環境整備のための要求額です。そのうち778億円が、クラウドを活用した校務システムや、セキュリティを整える用途とされています。国がかなり本気で準備を始めていることは伝わってきます。

これ自体は、私も必要な投資だと思っています。子どもたちの大切な個人情報を扱う以上、安全に使える環境を整えるのは大事なことです。

ただ、資料を見ながら、少し引っかかりを感じたのも事実です。この環境が整った後、教室での学びが実際に変わるまでに、いったいどれくらいの時間がかかるんだろう、と。

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環境を整えることと、授業が変わること


次の学習指導要領に向けた議論では、小学校の総合的な学習の時間に「情報の領域」を設け、中学校では「情報・技術科」をつくる方向で検討が進んでいます。

私がとくに気になっているのは、中学校です。

文科省が公表している公立中学校等の数字を見ると、今でも、技術分野を担当する先生のおよそ4人に1人が、臨時免許や免許外教科担任という形で授業を担っています。「情報・技術科」の内容を充実させる以前に、今ある授業を専門の先生が教えることが、すでに難しい状況にあります。

もちろん、国もそこに手をつけていないわけではありません。免許取得を促したり、研修や教材を整えたりする計画は進んでいます。ただ、先生を確保し、研修を受けてもらえば、それですぐに授業が変わるかというと、そう簡単ではないはずです。

授業をやってみてうまくいかなくて、他の先生の実践を見て、教え方を見直して、もう一度やってみる。子どもたちの反応を見ながら、少しずつ指導の仕方が身についていく。どんな教科でも、そういう時間が必要なのだと思います。

そうした試行錯誤を、どこまで充実させることができるのか。

人を集め、研修や教材が用意されることと、良い授業が展開されることの間には、実はかなり距離があるのではないかと想像します。


端末が届いても、学びは揃わなかった


ここで思い出すのが、GIGAスクール構想です。

コロナ禍で整備が前倒しされ、1人1台端末が一気に学校に導入されました。それ自体はすごいことだったと思います。でも、端末が配られたあと、子どもたちが同じように学べたかというと、そうではありませんでした。

自治体や学校によって使われ方に差があり、同じ学校でも、先生によって活用の仕方が違う。そうしたことは、みなさんにも思い当たるところがあるのではないでしょうか。

すべての学校のすべての授業が同じになる必要はありませんが、どの学校やクラスにいるかによって、必要なスキルやリテラシーを身につける機会まで大きく違ってしまうとしたら心配です。今回のAIも、使える環境を全国に整えた先に、同じ課題があるのだと思います。

AIで答えを出して終わるのか。その答えを疑ったり、問い直したり、自分の考えと比べたりするところまで経験できるのか。同じ「AIを使った授業」でも、子どもがそこで何をしているかは、ずいぶん違ってきます。

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準備をしている間にも、子どもは卒業していく


新しい情報の領域や教科は、小学校では2028年度から、中学校では2029年度から、段階的に先行実施する方向で検討されています。もう、それほど先の話ではありません。

教育を変えるには時間がかかる。
それは、私もそう思います。

でも、家庭の側から見ると、学校とは少し違う時間が流れているのもたしかです。

今、中学校に入った子は3年後には卒業します。「指導体制を整えているところです」という数年間が、その子にとっては中学校生活の全部だったりするわけです。

ここが、教育の話をするたびに難しいなと思うところです。

制度として無理なく進めるために必要な時間と、目の前の子どもがその学校で学べる時間が、必ずしも合っていない。884億円の予算の使い道を見て感じた不安も、たぶんそこにあります。

環境が整うのはありがたい。でも、それを使った学びが教室に根づくまでには何年かかるのか。その間の子どもたちには、どんな経験を用意できるのか。

先生個人の頑張りに任せるだけでは、また学校やクラスごとの差が大きくなってしまうでしょう。予算がつくかどうかとともに、先生が授業を試し、直し、他の先生と共有しながら質を高めていく余裕までしっかり確保されるのか。これから見ていきたいのは、そこです。

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AIとのやり取りを見ていて、気づいたこと


学校が準備を進めている間にも、子どもの学校生活は進んでいきます。では、その間、家庭では子どもの何を見ておけばよいのでしょうか。

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