難関国立大学が動いたとき、進路選択はどう変わるのか
前回の記事では、国際卓越研究大学・第2期公募の結果をもとに、東京大学が「審査継続」となった背景や、その判断が持つ意味を整理しました。
今回はこの制度が日本の高等教育全体、そして各家庭の進路選択にどのような影響を及ぼすのかまで視点を引き上げてみたいと思います。
なぜ、制度の上流を見るのか
本題に入る前に、ひとつお伝えしておきたいことがあります。
私が教育施策を見るときに常に意識するようにしているのは、個別の制度の裏側に流れる文脈、つまり、教育施策の上流構造です。
「どんな思想でこの制度が設計されているのか」
「どこをゴールに置いて、全体が動いているのか」
ここを押さえると、どちらの方向に進むかは、かなりの確度で見えてきます。
教育は「国家百年の大計」と言われ、大きな方針転換には、長い時間を要します。
大きな改革には、検討から設計、周知、現場実装まで5年10年単位の時間がかかります。
だからこそ、変化はゆっくりですが、一度定まった方向が簡単に変わることはありません。
こうした一連の流れを取りまとめているものの代表格が、およそ10年に一度のサイクルで行われる学習指導要領の改訂です。
大学教育そのものは学習指導要領の直接的な縛りを受けませんが、大学入試は幼小中高の出口でもあるため、改訂の影響を強く受けます。
つまり、教育制度を見るときに重要なのは、「直近で何が起きているか」よりも、「最終的にどこに行き着こうとしているのか」を先に把握しておくことです。
そこから逆算して、いま出てきている情報を捉える。全体の計画のなかで変化がどのように進捗しているのかを確認する。そんな見方をしています。
予測はつくが、時期を当てるのは難しい
教育施策の予測は、どのようなことが起きそうかを当てること自体は、実はそれほど難しくありません。
それより難しいのは、変化の具体的な時期を正確に言い当てることです。
いくら国や文科省がスケジュール通りに進めようと思っても、世論の反対があったり、現場がついてこれなかったり、保護者や生徒や先生の意識が追いつかなくて変化のスピードが減速したりすることは、ままあります。
それでも結局は、その後、手を変え品を変え、元の計画どおりの方向に向かっていくものです。
ですから、大きな方向感さえ間違えなければ、判断を致命的に外すことは、あまりありません。
国際卓越研究大学は研究者支援で終わらない
国際卓越研究大学制度は、世界に伍するトップレベルの研究力を持った大学を日本にも作ることを目的とした国家プロジェクトです。
10兆円規模の大学ファンドを原資とし、その運用益を用いて、単年度ではなく長期・安定的に大学を支援する。
ここまでは、前回の記事でもお伝えしたとおりです。
しかし、この制度を丁寧に見ていくと、研究支援とほぼセットで「学士課程改革」「入試改革」が組み込まれていることがわかります。
つまり、単なる研究者支援の制度ではないのです。
入試改革は計画に書き込まれている
たとえば、第2期公募で認定候補となった東京科学大学の計画書を見てみましょう。